このコップみんなで水色に塗ろうね!?
ある友人が「このコップみんなで水色に塗ろうね!」といい出しました。
それは、中学の美術の授業で静物画を水彩で描いていた時のことでした。
モチーフはナスやトマトなどの野菜とガラスのコップでした。
4〜5人のグループでテーブルの中央にあるモチーフを囲んでを描いていました。
おもむろに、ある友人が「このコップみんなで水色に塗ろうね」といい出しました。
僕は「そうだね〜」なんていいながら、熱中しているうちに、
コップの透けた背景が暗かったので紫色でコップを塗っていました。
すると「あ〜、こいつ、みんなでコップ水色で塗ろうっていったのに〜、
なんか紫色で塗ってる〜」と言い出しました。
「え〜」と僕は心の中で思いました。
まさか、みんな本当にコップを水色だけで塗っているの?
別に、そんなの何色で塗ったって、いいんじゃない?
だって美術の授業なんだからさ。
なんだっていいんじゃない?
と思っていました。
でも、違ったんですね。
みんなは、同じように描くということに、安心感があるんですね。
もしくは、違うように描くというのが、すごく怖いんですね。
自分が個性的だというつもりはないですし、
そんなに芸術家ぶって紫色に塗ったわけではなくて、
ただ夢中で描いていたらそうなっただけなのですが、
それすらも他人との違いとして指摘してしまう、
そんな雰囲気がすごく窮屈だったことを、覚えています。
だって30代のおじさんがいまだに覚えているんですから、
よっぽどですよ。
日本の美術の教育がなっとらん!
などと言うつもりはありませんが、
本来ものを作るというのは自由で、
好きなことをやればいいんだと思うんです。
そして、それが楽しいと思うんです。
ただでさえ、制服や、校則やいろんな決まりの中で、
息苦しいんですから、美術の時間くらい、
何やったっていいと思うんです。
でも、どうしても学校の中では、
他人の目を気にしたりして、
好きなようにできない雰囲気があるのも事実だと思います。
だから、オチャノマートのワークショップでは
少しでも自由で楽しい気持ちや雰囲気を、味わって欲しいし、
誌面でもそれを表現したいといつも思っているのです。
オチャノマートでは、
コップなんか何色で塗っても、例え赤色で塗ったとしても、
それはそれで、自由で面白い表現だと思っているのです。